ディメンションランバーによる垂木

在来軸組の屋根を支える
垂木・登り梁に
ディメンションランバーを使う

ディメンションランバーとは主に枠組壁工法で使用されている木材の総称。樹種はSPF[※1]、Hem – Fir (N)、D Fir-L (N) などがあり、日本で流通量が多いのはSPFです。サイズは2×4~2×12までの5種類があります[※2]。含水率は19%以下と十分に乾燥されているため、寸法安定性が高く、強度のバラツキも少ないのが特徴です。その性能が高く評価され、近年では在来軸組構法の和小屋において、垂木や登り梁で使用されるケースが増加しています。長さの規格は6f (1.83m) ~20f (6.1m)。2f (約60cm) ごとの規格として供給されるため、4mを超える長尺材も国産材に比べて費用を抑えて入手できます。釘打ちがしやすく、釘割れが発生しにくいのも特徴です。

※1SPFとは、S(スプルース)、P(パイン)、F(ファー)という3樹種が混在した樹種群の総称。

※22×4(38㎜×89㎜)、
2×6(38㎜×140㎜)、
2×8(38㎜×184㎜)、
2×10(38㎜×235㎜)、
2×12(38㎜×286㎜)
の5種類がある。

ディメンションランバーの
垂木・登り梁を
露しにしたモダンな木の建築

小屋組を露しにすると、天井仕上げを省略できるほか、空間にダイナミズムが生まれます。垂木や登り梁にディメンションランバーのSPFを使えば、SPFは節が少なく、温かみのある白を特徴とするので、小屋組を上品に見せられます。サイズや取り付けピッチは自由自在。好みに合わせて彫の深さを調整することも可能です。特に、化粧野地板とディメンションランバーを組み合わせた素朴なデザインはコストパフォーマンスが抜群。スギやヒノキの軸組と組み合わせても、“和” と“洋”がほどよく調和したモダンな木の
建築を表現することができます。

断面が大きなディメンション
ランバーは
垂木欠きによる
断面欠損の影響を小さくできる

垂木・登り梁の固定は釘やビス、ひねり金物などを用いて行うのが一般的です。特に、軒先では、風の吹き上げによる垂木・登り梁の引き抜かれが懸念されるため、接合部の強度を十分に確保する必要があります。これに対して、例えばディメンションランバーのSPFは釘が打ちやすく、釘割れが生じにくいため、接合部の強度低下が生じにくいのが特徴です。軒の出を確保する場合には最適な木材の一つといえるでしょう。ディメンションランバーは断面寸法が大きな部材も規格であるため、構造耐力上重要な軒桁に垂木欠きを設ける必要がありません。垂木側を欠きこんで、安全な接合を実現します。

ディメンションランバーを使えば
小屋裏空間が広く使える

ディメンションランバーのSPFは重量比強度に優れているのが特徴で、SPFを垂木・登り梁に使用すれば、通常よりも母屋や小屋束のピッチを広げることも可能です。設計条件によっては省略することも可能で、接合金物を含めた部材数が少なくなり、工期短縮が実現できます。その結果として小屋裏のスペースを大きく確保することが可能です。小屋束によるレイアウトの不都合さも解消され、ロフトや書斎などの個室として広々と使用することができます。軽量で強度のあるSPFでトラス梁を組めば、12m強の大スパンを飛ばせるので、非住宅用途の木造建築にも最適です。

屋根断熱や付加断熱の
下地材として
ディメンションランバーを使う

小屋裏空間を使用する場合や小屋組を露しにする場合は、屋根断熱を行う必要があります。夏の輻射熱対策として、断熱層の厚さは一定以上必要。小屋組のデザインに合わせて、断熱層分の下地材を組む必要があります。このとき、サイズのバリエーションが豊富でコストを抑えることができるディメンションランバーは下地材として理想的な木材です。屋根断熱以外でも、在来軸組構法の充填断熱において、柱・間柱による断熱欠損を避けるために付加断熱を行う場合には、その下地材としても使いやすい材料です。

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